コラム

特定技能「宿泊業」で外国人を雇用する方法や働ける仕事内容、注意点

外国人雇用をしたことのある方や、外国人雇用を検討したことのある方なら一度は聞いたことのある「特定技能」。ホテルや旅館などの宿泊業界では、特定技能で外国人を雇用できるか、考えたこともあるのではないでしょうか?

この記事では、特定技能「宿泊業」に焦点を当て、その詳細を解説します。

目次

宿泊業界の現状

日本の宿泊業はインバウンド観光の影響を受けつつも、人手不足の問題に直面しています。業界は労働力の確保と改善策に焦点を当て、政府の支援やインフラ整備に期待しています。今後、国内外の観光業界に対する政府の戦略が、宿泊業界の発展に大きな影響を与えるでしょう。

急激なインバウンド需要の回復(2023年:5.9兆円突破)

日本の宿泊業は、長らく外国からの観光客を受け入れ、その経済的貢献を享受してきました。しかし、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックの影響により、2020年から2022年までは国際旅行が制限され、観光客の数が急激に減少しました。

2023年6月には、訪日外国人数が、コロナ前の水準である72.0%に回復しました。

特に注目すべきは、中国からの訪日数が低迷しつつも、米国、メキシコ、フィリピンからの訪日客が増加したことです。また、一人当たりの消費額が高水準を保ち、円安の影響で外国人観光客の旅行が割安になったことが要因とされています。

2023年のインバウンド需要は5.9兆円に達し、コロナ前の水準回復に向けた動きが続いています。
(参考)順調に回復するインバウンド需要:2023年推計値は5.9兆円とコロナ前超え(6月訪日外国人数)|2023年 | 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight | 野村総合研究所(NRI)

深刻な人手不足の現状

日本の宿泊業界は、コロナ禍以前から「人手不足の業界」と言われています。特に観光シーズンや休暇シーズンには、ホテル、旅館、レストラン、観光施設などでスタッフ不足が顕著です。

この問題は、日本の高齢化社会と労働力不足が主な要因となっており、多くの若者が都市部に移住し、農村地域や観光地域に労働者が不足しています。

2023年7月の帝国データバンクの調査によると、ホテル・旅館業界の正社員が不足していると感じている企業の割合は77.8%、非正規社員が不足していると感じている企業の割合は81.1%で、非常に深刻な状況にあります。

また、同調査によると、ホテル・旅館業界は正社員・非正規社員ともに全職種中トップで、非正規の81.1%はコロナ禍以前を含めても過去最高値を更新しています。

2023年6月の有効求人倍率は1.30倍となり、高止まりの状況が続いています。
(参考)人手不足に対する企業の動向調査(2023年7月)| 株式会社 帝国データバンク[TDB]

外国人雇用の可能性

このような急激なインバウンド需要の回復と深刻な人手不足の状況下で、宿泊業界では外国人の活用が求められています。

出入国在留管理庁の調査によると、2021年12月時点で121名の特定技能1号外国人が受け入れられているため、さらに2万人以上もの受け入れが可能です。

また、宿泊旅行統計調査によると、2020年において、日本に訪れた外国人旅行者のうち、宿泊した人数は約1,200万人で、そのうち約7割がビジネス目的での滞在でした。このように、外国人の活用や外国人雇用は、宿泊業界にとって重要な課題の一つとされています。
(参考)宿泊旅行統計調査 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口

様々な外国人雇用の方法がありますが、この記事では、特に注目を集めている「特定技能」について紹介していきます。

特定技能「宿泊」とは

ホテル業界で外国人採用できるビザの種類

2019年4月に新しい在留資格「特定技能」が導入され、その中の一つが「宿泊業」です。

宿泊業は、特定技能12分野の中で、とくに人手不足が深刻化しているとして、特定技能に追加されました。

特定技能「宿泊業」では、一定の専門性と技能を持つ外国人労働者が、宿泊施設におけるフロント業務、企画・広報、接客、レストランサービスなど、宿泊サービス提供に関連する業務に従事することができます。

特定技能「宿泊」で外国人が行える業務内容については、後述します。

特定技能「宿泊」の1号・2号

2023年6月9日の「法務省告示等の改正に係る閣議決定」により、特定技能2号に宿泊分野が追加され、熟練した技能を有する外国人材の受入れも可能になりました。

そのため、2023年11月現在、特定技能「宿泊業」には「1号」と「2号」の両方が存在しています。
(参考)宿泊分野における外国人材受入れ(在留資格「特定技能」) | 観光庁

特定技能「宿泊」で外国人が行える業務内容

ここからは、特定技能「宿泊」で認められる業務とそうでない業務について詳しく紹介していきます。

認められる業務

特定技能の分野別運用要領によって、以下の業務が認められています。
・宿泊施設におけるフロント業務
・企画、広報業務
・客室接客業務
・レストランサービス業務
・飲食物給仕業務
・ホテル、旅館の売店での販売業務
・施設内の備品の点検・交換業務(付随的な業務として)

宿泊施設におけるフロント業務、企画・広報、接客、レストランサービスなどの宿泊サービスの提供に係る業務が含まれます。また、飲食物給仕係としても従事できます。

さらに、ホテル・旅館の売店での販売業務や、施設内の備品の点検・交換業務など、付随的な業務にも従事可能です。ただし、主要な業務ではなく「付随的に」行うことができます。

認められていない業務・働けない場所

特定技能の分野別運用要領によって、以下の業務は、認められていません。
・「接待」業務(風俗営業法第2条第3項に規定)
・簡易宿所(ペンション、民宿、キャンプ場、ゲストハウスなど)
・ラブホテル(風俗営業等の規制法に該当)

特定技能1号外国人は風俗営業法第2条第3項に規定される「接待」業務に従事することはできません。また、簡易宿所(ペンション、民宿、キャンプ場、ゲストハウスなど)やラブホテルでは雇用が許可されていません。ラブホテルは風俗営業等の規制法に該当するため、特定技能1号外国人の雇用は不可です。

【企業】特定技能「宿泊」で外国人を雇用する方法

特定技能「宿泊」分野で外国人材を受け入れる企業や団体は、いくつかの条件を満たす必要があります。

サポート体制の整備

特定技能「宿泊」分野で外国人材を受け入れるためには、事前ガイダンス、出入国の手続き、日本語学習支援、住宅確保、苦情対応などのサポート体制を整える必要があります。これにより、「法律で要求されるサポートを自社内で提供する」か、あるいは「サポートの一部またはすべてを『登録支援機関』に委託する」のいずれかを選択することが求められます。

・事前ガイダンス
・出入国の手続き支援
・日本語学習支援
・住宅確保サポート
・苦情対応
など

社内またはグループ内でサポート体制を構築するには、過去2年間において外国人材の受け入れ経験が必要です。また、外国人材とのコミュニケーションを円滑に行うために、社内に外国人材と共通言語を話せるスタッフがいない場合は、通訳の雇用も必要です。

そのため、多くの企業や団体が支援業務の一部または全てを「登録支援機関」に委託しています。

宿泊分野特定技能協議会への加入

特定技能「宿泊」分野で外国人材を受け入れる企業は、国土交通省が設立した「宿泊分野特定技能協議会」に加入する必要があります。特定技能「宿泊」分野で外国人材を受け入れた日から4か月以内に、協議会への加入が義務付けられています。

協議会への加入手続きについては、下記の観光庁のウェブサイトから入会届出書をダウンロードし、記入の上、郵送することで行うことができます。
宿泊分野における外国人材受入れ(在留資格「特定技能」) | 観光庁

【外国人】特定技能「宿泊」を取得する方法

外国人が宿泊業分野の特定技能1号を取得するためには、「(1)宿泊業技能測定試験に合格すること」または、「(2)宿泊業分野の2号技能実習を修了すること」の2つの方法があります。

(1)宿泊業技能測定試験に合格すること

(2)宿泊業分野の2号技能実習を修了すること

これらの要件を満たすことで、外国人は特定技能1号を取得し、宿泊業分野での仕事に従事することができます。特に、日本語能力試験の合格や技能測定試験の難易度が低くないため、試験対策と勉強に時間をかける必要があります。

また、技能実習2号から特定技能1号への切り替えには、時間がかかることに注意する必要があります。

求められる日本語レベル = N4以上

日本語能力試験(JLPT)のN4以上、または国際交流基金日本語基礎テストに合格する必要があります。

宿泊業技能測定試験に合格

宿泊業の技能測定試験では、「学科」「実技」「口頭試問」によって構成されており、「フロント業務」「広報・企画業務」「接客業務」「レストランサービス業務」「安全衛生その他基礎知識」の5つのカテゴリーから出題されます。

(1)フロント業務
顧客との接点となるフロント業務に関する知識やスキルを評価します。具体的には、チェックイン・チェックアウト、予約管理、顧客対応、クレーム処理、および基本的な英語力などが含まれます。

(2)企画・広報業務
宿泊施設の企画・広報に関する知識やスキルを評価します。具体的には、マーケティング、プロモーション、イベント企画、および基本的な英語力などが含まれます。

(3)接客業務
顧客に対する接客に関する知識やスキルを評価します。具体的には、挨拶、案内、サービス提供、および基本的な英語力などが含まれます。

(4)レストランサービス業務
レストランサービスに関する知識やスキルを評価します。具体的には、オーダー取り、食事提供、清掃、および基本的な英語力などが含まれます。

(5)安全衛生その他基礎知識
宿泊業界に必要な安全衛生や基礎知識に関する知識を評価します。具体的には、火災予防、地震対策、感染症対策、および基本的な英語力などが含まれます。

宿泊業分野の2号技能実習を修了

ホテルや旅館で技能実習生を受け入れる場合、最長で「3年間」の在留期間が許されます。

以前は、宿泊業においては技能実習1号の在留期間が1年に限定されていましたが、省令の改正に伴い、宿泊業4つの業界団体が共同で設立した「宿泊技能試験センター」が実施する技能実習評価試験に合格することで、技能実習2号に切り替えが可能になりました。

これにより、ホテルや旅館などの宿泊業において、最大3年間の滞在が認められるようになりました。

そのため、特定技能への切替は、最低でも3年かかることに注意が必要です。

特定技能「宿泊」で外国人雇用する際の注意点

特定技能「宿泊」外国人を雇用する際の注意点については、まず、雇用形態は正社員、契約社員、派遣社員のいずれかである必要があります。

さらに、特定技能外国人を雇用する場合は、特定技能協議会への加入が必要です。

雇用条件において、特定技能外国人の報酬は、同じ職場で働く日本人と同等以上でなければなりません。

最後に、特定技能外国人を雇用する際には、定期的な面談やガイダンスの実施が求められます。

特定技能「宿泊」以外の雇用方法

最後は、宿泊業(ホテル・旅館)で特定技能「宿泊」以外の外国人雇用の方法を紹介します。

技能実習生

技能実習生は、日本の技術やノウハウを学び、それを帰国後に自国での経済発展に活用し、貢献することが期待されており、この制度の主要な焦点は、「技能の習得」と「技術の移転」にあります。

技能実習生での外国人の受入れ方法を詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

技人国(技術・人文知識・国際業務)

技術・人文知識・国際業務(技人国)ビザでは、業務内容が制限されており、例えばフロント業務やホテルの通訳業務などに限定されています。

したがって、単純作業のような清掃などは許可されていません。

永定配(永住者・定住者・配偶者)

「永住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」、「定住者」の4つの在留資格には、就労に関する制限がありませんので、宿泊業でも日本人と同様にすべての業務を行うことが可能です。

単純作業などももちろん含まれます。

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