コラム

なぜ外国人の不法滞在やオーバーステイが起きるのか?その原因と対策を紹介

外国人を雇用する際に気を付けなければならないのは、不法滞在(非正規滞在)オーバーステイです。日本に働きに出てくる外国人の中には、残留資格がないにもかかわらず、不法入国して日本で働こうとしたり、在留資格の期限が切れているのに、働き続けようとしたりする人がいます。では、なぜそのような不法滞在(非正規滞在)やオーバーステイが発生してしまうのか、どのような対策をすれば良いのかを解説していきます。

そもそも不法滞在(オーバーステイ)とは

不法滞在(オーバーステイ)とは、合法的な在留を超えて日本に滞在したり、本来の在留資格がないまま日本に入国したりすることを指します。

不法滞在(オーバーステイ)の状態は、不法残留とみなされ、法的および行政的な責任が発生します。オーバーステイの場合、通常国民健康保険に加入できないため、病気などの場合、高額な医療費がかかる可能性があり、これは深刻な問題です。

また、オーバーステイの場合、入国管理局による摘発がほぼ確実と考えられるため、専門家の助言を受けたり、必要な書類を事前に用意した上で、自主的に入国管理局に出頭することが強くお勧めされます。自主的な出頭により、条件次第で出国命令制度の適用や在留特別許可の取得が可能となる場合があります。

不法滞在者の数と内訳

2023年1月1日の時点での不法滞在者は、7万4,491人となり、2022年1月1日の6万6,759人と比較して、3,732人(5.6%)増加しました。

性別に関しては、男性が4万3,267人(構成比61.4%)で、女性が2万7,224人(同38.6%)となり、前年の男性は4,151人(10.6%)増加し、女性は419人(1.5%)減少しました。

上位10か国・地域に関して、2022年1月1日と比較して、ベトナムが韓国に代わって第1位に、スリランカがマレーシアに代わって第8位に、カンボジアがインドに代わって第10位になりました。

また、上位10か国・地域のうち、ベトナム、タイ、スリランカ、およびカンボジアで増加しました。

不法滞在者が多い国ランキングTOP10

  1. ベトナム 13,708人(+6,560人)
  2. 韓国 10,508人(-1,123人)
  3. タイ 9,549人(+1,766人)
  4. 中国 6,782人(-934人)
  5. フィリピン 4,662人(-486人)
  6. インドネシア 3,185人(-265人)
  7. 台湾 2,873人(-446人)
  8. スリランカ 1,595人(+279人)
  9. マレーシア 1,474人(-219人)
  10. カンボジア 1,185人(+694人)

上位5つの在留資格に関しては、2022年1月1日と比較して、在留資格と順位に変化はありませんでした。

2022年1月1日と比較して、上位5つの在留資格のうち、「短期滞在」、「技能実習」(注1)、「留学」(注2)および「特定活動」で増加し、唯一「日本人の配偶者等」が減少しました。

不法滞在者の在留資格ランキングTOP5

1. 短期滞在 46,590人(+3,324人)
2. 技能実習 7,985人(+281人)
3. 特定活動 6,215人(+910人)
4. 留学 2,465人(+29人)
5. 日本人の配偶者等 1,937人(-363人)

(参考)本邦における不法残留者数について(令和5年1月1日現在) | 出入国在留管理庁

不法滞在の種類

不法滞在には、「不法入国」と「不法在留」の2つがあります。

①不法入国
不法入国は、有効なパスポートを持たず、偽造パスポートなどを使用して個人情報を偽り、日本に入国することを指します。また、上陸許可を受けずに日本に上陸した場合も不法入国に該当します。審査窓口を不正に通過するために貨物に紛れ込むなど、様々な手法で上陸許可の印や記録を回避し、不正に入国する事例があります。

②不法在留
不法在留は、在留資格に基づいて設定された在留期間が切れたにもかかわらず、在留資格の更新や変更手続きを行わないまま、日本に滞在し続けることを指します。観光ビザで入国し、その後就労し続けるケースが典型的です。このような不法在留は、職務質問や雇用主による調査などで発覚しない限り、見逃されがちです。最近では規制が強化されていますが、毎年数千人以上の不法滞在が発覚しています。

不法入国や不法上陸は明らかに違法行為であることがわかって行われますが、不法在留は外国人自身が規則を理解していないために見落としてしまうケースもあります。したがって、外国人を雇用する企業は、在留資格の確認と適切な管理を行うことが重要です。

不法滞在(オーバーステイ)になると

もし、不法滞在(オーバーステイ・非正規滞在)が明らかになれば、当該外国人は日本に滞在することが認められません。不法滞在(オーバーステイ)の解消にはいくつかの方法が考えられますが、基本的には日本を出国することが必要です。

出国命令または強制送還の処分が課せられ、再度日本へ入国できるまで一定期間を待たなければなりません。出国命令に従って出国する場合、再入国が許可されるまでに1年の待機期間があります。一方、強制送還の場合は5年待たなければ再入国できません。出国命令に従うには、オーバーステイの事実を認めるか、自主的に出頭するなど、さまざまな条件を満たす必要があります。これらの条件を満たせない場合、5年間日本への再入国が禁止されます。そのため、不法滞在(非正規滞在)を選択する人が多いのです。

さらに、強制送還後の5年が経過しても、ビザを取得し再入国できる保証はありません。不法滞在(非正規滞在)やオーバーステイの事実は記録として残り、再入国の許可を得るかどうかの判断材料となります。不法滞在(非正規滞在)は通常、悪質な行為と見なされ、再入国が許可される可能性は低い傾向があります。そのため、日本への再入国を避けるために、非合法なまま日本に滞在し続けることが選択されます。こうして、不法滞在(非正規滞在)やオーバーステイの期間が長引いてしまうことがあります。

その他にも、日本で働きたいが就労ビザが取得できず、短期滞在を装って非合法に滞在する場合もあります。

不法滞在者を雇用していた場合(不法就労)

外国人労働者を雇用する際には、不法滞在者を雇用した場合、企業側も法的な責任を負うことになります。このような場合、企業は「不法就労助長罪」の罪に問われる可能性があります。たとえ外国人が不法滞在を隠していて、企業がその事実を知らなかったとしても、免れることはできません。

また、在留資格に認められた就労内容と実際の業務が異なる場合や、超過勤務などのダブルワークも、不法就労助長罪の対象となり、懲役刑(最長3年)や罰金(最高300万円)などが科される可能性があります。

どのケースにおいても「知らなかった」という言い訳は通用しません。したがって、企業は外国人雇用に関する正確な知識を持ち、定期的な確認を行い、不法滞在を防ぐための努力が必要です。

外国人労働者を初めて雇用する企業の多くは人材派遣会社などを利用しますが、注意が必要です。なぜなら、現地の外国人派遣会社を名乗る会社が、実際には不法滞在者を派遣している可能性があるからです。不法滞在者を誤って雇用してしまい、法的な問題に巻き込まれる危険性を避けるために、事前に会社の実態を調査することが重要です。

不法滞在者を雇用しないために

外国人労働者の不法滞在を防ぐためには、在留カードの確認が極めて重要です。在留カードは、日本で3ヶ月以上滞在が許可されている外国人に発行され、住所、氏名、生年月日、国籍、在留資格の種類、在留カード番号、在留期限などの情報が記載されています。

外国人労働者を雇用する際には、必ず在留カードを提示してもらい、記載情報に誤りがないか確認することが必要です。

在留カードの確認に際して、もう一つ留意すべき点は、偽造在留カードです。今日では、非常に巧妙に作られた偽造在留カードが安価で入手でき、偽造在留カードの所持による摘発件数は年々急増しています。

出入国在留管理庁が提供している「在留カード等番号失効情報照会」ウェブサイトでは、在留カード番号と有効期限年月日を入力することで、在留カード番号が有効かどうかを照会できます。

さらに、在留カードにはICチップが内蔵されており、ICチップ内の情報を読み取るソフトウェアやアプリを使用して、カードの情報とICチップの内容を照合することで、偽造在留カードを検出することができます。

外国人が不法滞在(オーバーステイ)する理由

不法入国以外の不法在留に関する理由をいくつか紹介します。

①劣悪な労働環境からの失踪によって不法滞在(オーバーステイ)になる場合

外国人が不法滞在(非正規滞在)・オーバーステイするのにはさまざまな理由や事情がありますが、その中の1つに外国人労働者に対する不当な扱いがあります。

技能実習生の失踪について、耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。技能実習生とは、発展途上国の若者たちが日本で技術・技能を習得し母国の経済発展に寄与する、つまり国際貢献を目的とした制度のことを指します。技能実習は、最大5年間日本に滞在することができます。

日本企業の中には、外国人労働者に対し低賃金や残業代未払い、長時間労働や差別的な対応など、外国人労働者を不当に扱っている場合があります。技能実習生は原則転職不可であり、こうした過酷な労働状況下にある技能実習生は自身を守るため、失踪という最終手段を取らざるを得ないのです。

母国に帰国したくても低賃金であるため帰国費用がないといった理由から、非正規滞在となってしまうのです。「外国人だから」という理由は通用しないので、日本人と同等あるいはそれ以上の賃金を支払い敬意を持って平等に接してください。

②就労ビザの獲得ができない場合

外国人が正規のビザを取得することが難しい場合、不法滞在を選択し、日本での雇用機会を追求することがあります。これは、日本の労働市場での需要が高いためです。

ビザの取得条件を満たせない状況では、日本のビザは多様なタイプがあり、それぞれに特定の要件が設定されています。たとえば、特定の職業に就くためのビザは、特別な資格やスキルが求められることがあり、これらの条件を満たすのが難しい場合、就労ビザの取得が困難になります。

また、就労ビザを取得するためには、雇用主との契約が必要なケースもありますが、雇用契約が不安定であるか、適切な雇用契約を締結するのが難しい場合、外国人は不法滞在を選択することがあります。

③難民申請中の場合

日本は難民受け入れにおいて厳格なポリシーを持つ国であり、難民申請が難しいとされています。一部の外国人は、日本に対する難民申請が受け入れられない場合、不法滞在を選択することがあります。彼らは自国での人権侵害や迫害から逃れるために、不法滞在を唯一の選択肢と見なすことがあります。

これらの理由に加えて、文化的な興味や学術的な目的、観光などの一時的な滞在から不法滞在に移行する場合もあります。不法滞在は法的な問題を引き起こし、移民政策や法執行機関に影響を与えるため、注意が必要です。

まとめ

日本には、数万人単位で、不法滞在(非正規滞在)やオーバーステイをしている外国人がいるとされています。そのため、外国人を雇用する場合、不法滞在(非正規滞在)をしている人に出会う可能性は十分あります。違法滞在者を雇用してしまったら、雇用する側も何らかの罰則を受けることになります。そうならないために、外国人を雇用する際には、在留カードを確かめる対策をするようにしましょう。しっかり確認さえすれば、不法滞在者(非正規滞在者)を雇用せずに済みます。

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